PERの捉え方|個人的見解
PERとは|株価が利益に対して割安かどうか測る指標
PER。投資を始め立ての方でも、きっと目にする機会があると思います。株式投資で最もポピュラーな指標と言っても過言ではないでしょう。PERとは株価収益率のことであり、EPS(1株当たり純利益)に対して株価が割高かあるいは割安かを示す指標です。
計算式は《PER = 株価÷EPS》で求められ、目安は以下の通りです。
一般的に15倍。企業の業種や市場環境にもよるが、基本的に同業種・同規模で比較することが一般的で15倍以上であれば割高、15倍以下であれば割安とされる。
引用元:SBIネオトレード証券
PER15倍とは言い換えれば、株主の投下資本(=株価)に対して、利益として回収するまで15年掛かるということです。株価およびEPSに変動がないと仮定して、年利は 1÷15=6.67%となり、投資家は一般的に株式に対して7%弱のリターンを期待しているとみることが出来ます。
一方で、国債など限りなくリスクの少ない資産のリターンに対して、どれだけ期待収益率が高いか(無リスク資産に上乗せされているか)を図る、リスクプレミアムという考え方があります。
仮に国債の利回り2%なのに、株式のリターンが2%だとしたら、わざわざ値動きの激しい株式に投資する旨味が無くなってしまいます。リスクのある商品なのだから、リターンは相応に欲しいという訳です。
2026年3月末時点で、プライム市場の平均PERは18.06なので、株式の期待リターンは5.53%です。2026/3/31時点で、日本国債10年の利回り2.35%ですので、リスクプレミアムは5.53-2.35=3.18%となります。このリスクプレミアムをそのまま金利0%時代に当てはまるとすれば、100÷3.18=PER31.45となり、なかなかに割高であると捉えられるでしょう。
個別株の分析におけるPER
PERを分析につかうとしたら、個別株が割高か割安かという点に尽きると思います。分析する際、単純にPERの数値を見て、同業他社と比較して高いのか、あるいは、過去の倍率と比較して現在は高いのか安いのか、という比較が簡単かつメジャーな使い方かなと思います。
PERによる割安度合い|リターンに要する年数で考える
今回はせっかくなので、少し工夫を凝らして先ほどの“PER=資本回収に掛かる年数”という点について考えてみたいと思います。利益が全く増減しない企業だと仮定して、平均PERが約18倍としたら18年目に資本を回収出来る訳です。では【株価<投資期間のEPS合計】となる年数を考察してみましょう。特に、成長著しい企業では、高PERのものもありますよね。
仮にPER100倍、EPS成長率20%を毎年継続する企業だとしましょう。この場合、リターンが株価を上回るのは16~7年目ごろです。先ほどと似たような期間を要しますよね(PERと成長率の関係にPEGレシオというものもありますが、成長率が高いと機能しにくくなります)。実際は20%を継続するような超優良・有望企業は、EPSの成長と共にどこかで株価が急騰して、キャピタルゲインで十分にリターンを得られる可能性もあります。
実例を考えてみる|レーザーテック社
成長率とPERから回収年数は何年まで許容できるか考えてみましょう。過去の超成長企業の事例を考えたいと思います。
脅威のPER150倍が意味するもの
例えば、レーザーテック社は2022年1月に高値を付けるまで、数年かけて株価が上昇していました。そのPERは脅威の150倍!前期まで毎年EPSは成長しており、特に直近2年は単年約80%の成長率をたたき出していました。しかし、2022年6月期は前年ほどの成長は果たせず、前年比30%の成長に留まっていました(それでもかなりすごいですが)。
仮にPER150 EPS毎年80%の成長率だと8年で投下資本を回収できることになります。しかし、30%の成長率かつ8年で投下資本を回収するには、PER30程度しか許容されません。成長率の鈍化と共に、PERの水準も一気に切り下がってしまいます。
実際のところ、先ほどの高値からおよそ半年後の6月までに、株価は約60%下落しました。
平均の15年ではなく、回収期間8年程度の株価となっていたのは、成長鈍化のリスクも織り込んだ価格であったと言えます。さすがに毎年80%のリターンを15年続けるのは現実的ではないですからね。逆に言うと、成長鈍化リスクを考えると、成長率80%という水準の回収期間は8年程度までしか待てないと言うことかもしれません。
ちなみにPER150の銘柄に投資して、15年かけて投下資本を回収するには、年平均約26%の成長率が必要です。このペースだと、15年後にはEPSが約32倍になっています。株価が全く変動しなかったとして、15年後のPERは150÷32≒4.69です。
これだと割安すぎるので、平均的なPER15に株価がつけていたとしたら、15年間で株価が3.2倍=32×15÷150(15÷4.69でも同様です)になったことになります。株価3.2倍、それ自体は凄いことですが、単年の成長率で考えると毎年約8%にしかなりません(配当除く)。
せっかく年平均26%も成長したのに、8%のリターンじゃ旨味がないですよね。8%はS&P500などのインデックスのリターンと同程度です。15年後も高PERを維持している可能性もありますが、企業が成熟していくと、毎年の成長率は鈍化していく傾向にあります。鈍化していくなかで高PERを維持し続けるのは困難と言えます。
まとめ|PERの工夫の仕方は様々
PERを基にした、投下資本の回収年数を簡単に考察しましたが、これ単体だけで投資判断するのは難しいと思います。今回ご紹介した話は1つの考え方です。こう言うと元も子もありませんが、PERが全てではありませんし、私の考え方が絶対正しいと主張するつもりもありません。まずPERでは赤字企業の価値が測れませんよね。それにPER15でも市場は成長期待を織り込んでいるうえでの数値の可能性だってあります。
ただ、例えば「年50%の強烈な成長を描いているけど、投下資本回収に20年かかる」や「PER30倍だけど過去5年の成長率から、10年で回収できそう」など見た目のPERだけでは測りかねる状況を違う角度から見ることができると思います。また、投下資本の回収ではなく、回収率が2倍なるまでの期間や50%回収するまでの期間などと設定すると、成長率に掛かるウエイトが異なるため、また違う角度の景色が見れるはずです。
今後もPERに関連した考察を広げていきたいと思っています。
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