生活防衛費|現金派?投資派?

初心者向けの投資本やYouTube動画などで、「まず生活防衛費を貯めましょう」という話題になることも多いと思います。
万が一働けなくなったとき、当座の生活に困らないよう『まずは生活防衛費を確保しましょう』と重要性が説かれているのが基本です。続いてこう決まり文句が出てくるのではないでしょうか。
「投資に回す資金は、余剰資金で!」
余剰資金とは、普段の生活費数か月分と生活防衛費を除いたものと考えて良いでしょう。ここでタイトルにあるような疑問が浮かびます。
生活防衛費は現預金とリスク資産への投資どちらがよいの?

せっかく投資を始めるのに、現金持っておくなんてもったいないよ!

確かに、せっかくなら少しでも資産を増やしたいよね。
現金よりも投資信託や株式の方が増やすチャンスが大きいから、機会損失を考えると、現金以外にしておきたくなるね。
おまけに現金はインフレに弱く、現在の市況だとみるみるうちに価値が目減りしていきます。
生活防衛費は投資に回しておき、困ったときには低利でお金を借りた方が資産効率は高いかもしれません。あるいは、借り入れしないのであれば、その際に投資信託や株を切り崩すことになりますが、そこに至るまで投資を行い、資産を最大化することは最高効率と言えます。

理論上は、困ったときに低金利で借り入れをした方が資産効率は高いかもしれない。でも、働けなくなった状況で銀行がお金を貸してくれるかな…。現実的には厳しいよね。
リスク資産で持つ怖さ

やっぱり効率よく投資するのが、成功への近道に決まってるよ!

本当に効率よく投資できるかな…。
仮に生活防衛費もリスク資産に投資していたとしましょう。右肩上がりの相場であれば思惑通り、現金で置いておくよりも資産を大きく伸ばせるはずです。
しかし、もし相場が下落基調だったら、生活防衛費として充てにしていた銘柄を適切に売却できますか?含み損が出ていたとして、必要だからといって機械的に売却できるでしょうか。
どの銘柄を選んで売却するか。有事の際に正しい答えを出すことができますか?

うっ… せっかく投資したのに、含み損の銘柄は現金に負けたみたいで売りづらくなっちゃうかも…

いざという時に株の売買なんて気が回らないよね。
働けなくなり、生活防衛費を充てにするような事態、心身どちらかあるいは両方病んでいてもおかしくありません。もしかしたらスマホやパソコンすら操作できず、家族に操作してもらうこともあるでしょう。
こういった状況で、正しく完璧な銘柄を選択できるでしょうか。もし、そんな器用なことできるなら、最初から短期トレードを繰り返ししても大成功を収めるかもしれません。でもそんな人は世の中に、ほんの一握りしかいません。
そもそも株式市場はあなただけのために存在するわけではありません。生活防衛費捻出のために、最適な売却タイミングを提供してくれるわけではないのは言うまでもないですね。完璧に立ち回ろうとしたって、意図したタイミングの売買ではない時点で正しい行動ではないのです。
損失回避バイアスという言葉を聞いたことがあるでしょうか。行動経済学のプロスペクト理論というもので、期待値以上に人は利益を得ることより損失を被ること(回避すること)の方を重視してしまうというものです。損切りがなかなかできず、塩漬けしてしまうのも、損失確定することで損を現実に被ることを回避したいという心理から来ているという話です。
平常時でさえ、期待値に沿った正しい行動が取れないのに、ピンチの時に正しい行動を取れるわけがありません。
それなら最初から現金の方が精神的に安定するでしょう。投資に回した資産全て失っても、また立ち直るだけのお金があることは、自分だけのセーフティネットを有している状態です。いわば保険です。
断言します。『無くしてはならないお金を使い、負けを取り返そうとする』。こういった心理状態で行うトレードは、失敗します。そして、そのような状況下においては、得てして負けたら退場する羽目になるでしょう。
まとめ|生活防衛費、現金のススメ
投資効率を追求するのは『勝つため』、生活防衛費を現金で持つのは『負けないため』と大別出来ると考えられます。どんな凄腕投資家であったとしても、常に勝ち続けるのは不可能です。日頃から常々話していますが、一番大事なのは市場から退場してしまうほどの損失を負わないことです。ちなみに私は生活防衛費として、100万円程度確保しています。生活費3か月分くらいですが、これでも少ないほうだなと思っています。みなさんはどの程度、生活防衛費に回しますか?是非これを機に考えてもらえたら嬉しいです。
